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熱電変換材料のナノ構造制御と熱電変換効率向上

7月開催 電気系セミナー  更新日:2019年6月 4日
 セミナー番号【907404】7/23 講師4名
★「電気を通しやすく、熱を通しにくい」相反する要求の実現へ向けた最新研究事例!

熱電変換材料のナノ構造制御と熱電変換効率向上


■ 講師
1. 東京大学 生産技術研究所 准教授 博士(工学) 野村 政宏 氏
2. (国研)産業技術総合研究所 省エネルギー研究部門 主任研究員 博士(情報工学) 太田 道広 氏
3. 北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授 博士(工学) 前之園 信也 氏
4. 大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授 工学博士 中村 芳明 氏
■ 開催要領
日 時 : 2019年7月23日(火) 10:00~17:00
会 場 : [東京・五反田]技術情報協会 セミナールーム
聴講料 : 1名につき60,000円(消費税抜き・昼食・資料付き) 
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき55,000円(税抜)〕

    ※定員になり次第、お申込みは締切となります。


プログラム

<10:00~11:30>

1.フォノンエンジニアリングによる熱伝導制御と熱電変換応用

東京大学 野村 政宏 氏
【応用物理学会 フォノンエンジニアリング研究グループ 代表】
 
【講座概要】
スマート社会の実現に不可欠なエネルギーハーベスティングやデバイスの放熱問題の意識の高まりを受け、ここ数年で熱エネルギーの取り扱いに大きな関心が集まっている。ナノ構造を含んだ材料・デバイス中の熱伝導はフーリエ則で記述できず、弾道性などのナノスケール特有の輸送特性を考慮しなければならない。近年、熱伝導をナノスケールの視点から理解したうえで材料や構造を設計することで、材料性能を飛躍的に向上させることが可能になってきた。本講演では、ナノスケールでの熱伝導(フォノン輸送)を巧みに制御するフォノンエンジニアリングの基礎をわかりやすく解説し、フォノニック結晶ナノ構造を用いた系を取りあげながら、より高度な熱伝導制御と熱電変換応用などへの取り組みをわかりやすく紹介する。

1.ナノスケールフォノン輸送と熱伝導
 1.1 なぜ今、熱制御が重要なのか?
 1.2 ナノスケールの熱伝導は何が違うのか?
 1.3 高効率熱伝導制御のための基礎知識

2.フォノンエンジニアリングによる熱伝導制御の基礎
 2.1 フォノンの粒子的描像に基づく熱伝導制御
 2.2 フォノンの波動的描像に基づく熱伝導制御

3.フォノンエンジニアリングによる熱伝導制御の応用例
 3.1 熱電変換材料開発への応用
 3.2 熱電変換の基礎
 3.3 平面型シリコン熱電変換デバイス
 3.4 エネルギーハーベスティングへの展望


【質疑応答・個別質問・名刺交換】
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<12:10~13:40>

2.高効率熱電発電モジュールの開発:ナノ構造形成と資源制約からの脱却

(国研)産業技術総合研究所 太田 道広 氏
 
【講座概要】
本講演では、ナノ構造化によるバルク体熱電変換材料の高効率化、資源制約の少ない硫化物熱電変換材料、それらを用いた高効率熱電発電モジュール、加えて、評価技術や熱電発電の応用などについて紹介する。我々のグループでは、ナノ構造を形成することで、バルク体熱電変換材料の性能指数を2倍以上に向上させることに成功している。さらに、希少・毒性元素を利用しない新しい熱電変換材料として硫化物の研究を進めている。そのうえ、これら新規熱電変換材料を応用する上で重要となる、モジュール化ならびに評価などに関する技術も蓄積している。例えば、ナノ構造を形成した熱電変換材料に適した電極とその形成技術を開発することで、従来技術を凌駕する12%の変換効率を達成している。

1.熱電発電技術の基礎:発電モジュール開発の観点から
 1.1 未利用熱の排出状況
 1.2 熱電発電モジュールの基礎と開発のポイント
 1.3 発電モジュールにおける変換効率の評価

2.変換効率12%を達成した熱電発電モジュール
 2.1 バルク体熱電変換材料へのナノ構造形成
 2.2 ナノ構造の形成による熱伝導率の低減
 2.3 ナノ構造の形成による電気輸送特性の改善
 2.4 超高効率材料を用いたモジュールの開発:電極開発など

3.資源制約からの脱却
 3.1 硫化物熱電変換材料の探索
 3.2 硫化物熱電変換材料コルーサイトの高効率化
 3.3 コルーサイトを用いた熱電変換素子の発電実証

4.まとめ
 4.1 応用に向けた取り組み
 4.2 今後の課題と将来展望


【質疑応答・個別質問・名刺交換】
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<13:50~15:20>
3.化学合成した硫化銅鉱物系ナノ粒子を用いたサステイナブル熱電材料の創製

北陸先端科学技術大学院大学 前之園 信也 氏

 
【講座概要】
地球上で産生されたエネルギーのうち約7割のエネルギーが200℃以下の低温廃熱として捨てられている現状がある。熱電素子によりこれらの低温廃熱のエネルギーハーベスティングが実現できれば、地球温暖化抑制や省エネ対策に大きく貢献する。しかし、代表的な熱電変換材料であるBi2Te3をはじめ、現在研究されている多くの材料系では、Pb、Te、Seといった毒性の高い元素や希少な元素が用いられているため、宇宙用などごく限られた分野での利用に留まっていた。近年注目されている硫化銅鉱物系熱電材料は、安価で安全、資源的にも豊富だが、熱電変換性能が未だ低いという問題がある。我々は、種々の硫化銅鉱物ナノ粒子を化学合成し、それらをビルディングブロックとして階層的欠陥構造を有する熱電材料を創製することで、硫化銅鉱物系熱電材料の高性能化を図り、p・n型双方の熱電材料において400℃以下の温度領域で無次元性能指数ZT > 1を達成することを目標として研究を行っている。
1.硫化銅鉱物系熱電材料
 1.1 Cu-S系(方輝銅鉱、デュルレ鉱など)
 1.2 Cu-Fe-S系(黄銅鉱、アイソキューバ鉱、斑銅鉱など)
 1.3 Cu-Sn-S系(CTS、CZTSなど)
 1.4 四面銅鉱、コルース鉱などその他の硫化銅鉱物

2.階層的欠陥構造制御による熱電変換性能の向上
 2.1 階層的欠陥構造によるフォノン散乱と格子熱伝導率の低減
 2.2 単分散ナノ粒子を原料として用いた階層的欠陥構造制御

3.Cu2Sn1-xZnxS3熱電材料
 3.1 Cu2Sn1-xZnxS3ナノ粒子の化学合成
 3.2 Cu2SnS3ナノ粒子を焼結して作製したCu2SnS3熱電材料の熱電特性
 3.3 Cu2Sn1-xZnxS3熱電材料の熱電特性

4.組成の異なる2種類のCu2Sn1-xZnxS3ナノ粒子を配合して焼結した熱電材料
 4.1 Cu2Sn0.9Zn0.1S3及びCu2Sn0.85Zn0.15S3ナノ粒子を焼結して得られたペレットの構造解析
 4.2 Cu2Sn0.9Zn0.1S3及びCu2Sn0.85Zn0.15S3ナノ粒子を焼結して得られたペレットの熱電特性

5.Cu2S及びFeSナノ粒子の反応焼結によるCu-Fe-S系熱電材料の作製
 5.1 Cu2S及びFeSナノ粒子の化学合成
 5.2 Cu2S及びFeSナノ粒子の配合比を変えて作製した熱電材料の構造解析と熱電特性

6.今後の展望

【質疑応答・個別質問・名刺交換】
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<15:30~17:00>

4.ナノ構造を用いた熱電性能向上と透明熱電材料への応用

大阪大学 中村 芳明 氏
 
【講座概要】
廃熱を電気として再利用可能にする熱電発電は、非常に興味深いものです。その中で、ナノ構造を導入すると性能向上するという報告が多くなされており、そのメカニズムについても多々あります。本講座では、ナノ構造を導入した際に生じる"界面"に注目して、これらの性能向上を理解することを狙います。また、制御性の高いナノ形成技術を用いてよく定義された界面構造を作製することで、どのような物理現象で性能が上がるのかを実験的に調べた結果をご紹介いたします。最終的に、こうした物理に基づいて開発したナノ構造薄膜材料の一つの応用として透明熱電材料への展開に触れます。根底にある学術から応用への展開について網羅する内容となっています。

1.ナノ構造を用いた熱電性能の向上
 1.1 ナノ構造性能向上の取り組み
 1.2 制御された界面構造を使った性能向上の戦略
 1.3 ナノ構造形成技術
 1.4 ご紹介する研究

2.Siナノドットを用いた伝熱制御
 2.1 Siナノドットを用いたナノ材料薄膜
 2.2 極小Siナノドット材料における伝熱特性

3.Geナノドットを用いて伝熱・電子輸送制御したSi薄膜
 3.1 Geナノドットを含むSi薄膜
 3.2 Geナノドットを含むSi薄膜の伝熱特性
 3.3 Geナノドットを含むSi薄膜の電子伝導特性

4.ナノワイヤを用いた透明材料への応用
 4.1 出力因子増大の試み
 4.2 ZnOナノワイヤを含む薄膜
 4.3 ZnOナノワイヤを含む薄膜の熱電特性
 4.4 デバイス化の状況

5.まとめ


【質疑応答・個別質問・名刺交換】